サブリース契約とは
サブリース契約とは、不動産管理会社がアパートのオーナーからアパートをまるごと借り上げ、それを不動産管理会社が入居者に転貸(又貸し)をするアパートの管理形態のことです。
そもそも、アパートの管理には以下の3つの形態があります。
●自主管理
●一般的な管理委託
●サブリース
自主管理
アパートのオーナーがすべての管理業務を自分で行う管理形態です。
管理費用などが抑えられますが、自分ですべてのアパート管理業務を行わなければならず、負担が大きくなります。
定期的なメンテナンスの必要もあるため、管理物件には足繁く通わなければなりません。
国土交通省の「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」によると、家主が所有している賃貸住宅の管理方法として、「業者に任せず、全て自ら管理している」と答ええたのは2割程度にとどまっているとの結果が出ています。
一般的な管理委託
アパートの管理業務を不動産管理会社に依頼する形態です。アパート管理業務のうち、集金など一部を依頼する場合や全てを依頼する場合があります。
オーナーには手間がかからず、自主管理では手の回らない質の高い管理サービスを受けることができますが、不動産管理会社への管理費用の負担が発生します。
サブリース
不動産管理会社がオーナーからアパートをまるごと借り上げ、不動産管理会社から入居者へ転貸する形態です。
一括借り上げとも呼ばれます。不動産管理会社は、空室の有無にかかわらずオーナーに賃料を保証します。
保証される賃料は、実際の家賃収入の80~90%ほどになることが多いです。
サブリース契約のメリット
サブリース契約を結ぶことで、アパートのオーナーが得られるメリットを4つ紹介します。
(1)管理業務をすべて委託
(2)安定した収入
(3)広告料・原状回復費の負担軽減
(4)相続税対策
(1)管理業務をすべて委託
アパート経営においては、さまざまな管理業務が発生します。たとえば、管理業務には以下のようなものがあります。
●入居者募集
●家賃の入金確認
●滞納金の請求
●入居者トラブルの対応
●建物・設備の清掃業務
●建物・設備の修繕計画の立案と実施
これらのすべてをオーナーが一人で行うのは、アパート経営を専業で行っているようなオーナーでなければ難しいです。
また、オーナーと入居者は賃貸借契約の関係がないので、入居者トラブルが発生した場合でも責任を問われません。
入居者トラブルの問い合わせは24時間365日入ってくる可能性があり、大家業は想像以上に大変です。
このような管理業務を全て不動産管理会社に丸投げできるのは大きなメリットです。
(2)安定した収入
一般的な管理契約では、アパートに空室があればその分オーナーの収入は減少します。
一方、サブリース契約は不動産管理会社がアパートをまるごと借り上げ、オーナーに賃料を支払います。
このため、オーナーはアパートにある空室数に限らず、一定の家賃収入を得ることができます。
相場としては、満室時の家賃収入の80~90%ほどが保証されることが多いです。
また、アパート経営においては入居者が家賃を払えない状況になってしまうことがあります。
一般的な管理契約では家賃が滞納されてしまえば当然、家賃収入は減り回収の手間が発生しますが、サブリース契約においてはこの場合でも一定の家賃が支払われます。
空室や滞納がどれだけあっても家賃収入を安定して得られることは、サブリース契約の魅力的なメリットといえます。
(3)広告料・原状回復費の負担軽減
アパート経営において、入居者が入居・退去を行うと多くの費用が発生します。
たとえば、入居者の入居が決まった際に仲介業者に支払う広告料や、退去後に部屋を綺麗にする際の原状回復費がその費用の代表です。
入退去が発生するたびに生じてしまうこれらの費用はオーナーにとって大きな負担です。
サブリース契約では、これらも不動産管理会社が負担することが多いため、入退去の際に発生する費用を抑えることができます。
(4)相続税対策
サブリースには、相続税を抑える効果もあります。
アパートのオーナーが亡くなり、相続が発生するとアパートに対して相続税が発生します。
相続税の計算上では、入居率が高いほど控除できる額が多く、相続税が安くなります。
そしてサブリース契約では、不動産管理会社が建物全体を賃貸していると解釈されるため、たとえ空室があっても入居率が100%とみなされます。
サブリース契約のデメリット
一見すると良い面ばかりのサブリース契約にもデメリットがあります。
ここでは、サブリース契約のデメリットを4つ紹介します。
(1)収益性が下がる
(2)一定期間ごとの賃料見直し
(3)免責期間の存在
(4)入居者を選べない
(1)収益性が下がる
サブリース契約の場合、不動産管理会社がオーナーと入居者の間に入ります。
そのため、入居者の支払う家賃の一部は手数料として管理会社に支払われます。
オーナーへの家賃保証率は80~90%が相場といわれています。
家賃収入が通常の賃貸物件よりも少なくなるので、物件の利回りは低くなります。
そこで、オーナーは空室リスクを背負う代わりに収益性を高めるか、それとも収益性を下げる代わりに安定した家賃保証のどちらを取るか考えて選択することになります。
また、入居付けの際に入居者から受け取る礼金なども不動産管理会社のものになることがあるので確認が必要です。
(2)一定期間ごとの賃料見直し
安定して家賃収入を得ることができるサブリースですが、同額の家賃保証がずっと続くわけではありません。
多くの場合、保証家賃の見直しが2年ごとに行われます。この見直しによって賃料が下がることがほとんどです。
近年では、この賃料見直しによってトラブルが多く発生し、問題視されています。
とある管理会社では「10年間家賃を下げない」とうたっていたにもかかわらず、会社の経営悪化を理由にオーナーに賃料減額を求めたことで訴訟にまで発展したケースもあります。
(3)免責期間の存在
サブリース契約においては、アパート新築後や入居者の退去後に免責期間が設けられていることがあります。
この免責期間の間は、入居付けを行うための期間として、不動産管理会社の家賃保証の対象に含まれません。
通常、この期間は1〜3ヶ月程度で設定されています。この間はサブリース契約でも家賃収入を得ることができないので注意する必要があります。
(4)入居者を選べない
サブリース契約では入居付けも不動産管理会社で行うため、入居者を選べないことがデメリットとなります。
一般的な管理委託の形態であれば、不動産管理会社が探してきた入居希望者の入居可否をオーナーが決定できます。
一方、サブリースの場合は不動産管理会社からのオーナー確認がない場合があります。
その場合、入居者の確認ができなかったことにより、「入居者マナーが低下してしまった」などといった問題が発生する可能性があります。
その場合でも家賃保証には影響はありませんが、オーナーとして自分の物件に好ましくない入居者が入ってしまうことを避けられないのは、オーナーの心理的にはマイナスになるでしょう。
また、サブリースが終了した後は、サブリース期間中に入居付けされた入居者とオーナーは直接の賃貸関係となります。
サブリース契約時の注意点
ここでは、サブリース契約でトラブルに遭わないよう、サブリース契約時に注意すべき点について紹介します。
サブリース契約時には、以下のような点に注意しましょう。
(1)家賃保証の割合を確認する
(2)家賃保証の見直しが何年ごとに行われるか把握する
(3)免責期間の有無を確認する
(4)契約の中途解約が可能か確認する
(5)修繕費用は誰が負担するのかを確認する
(1)家賃保証の割合を確認する
サブリース契約時には家賃保証の割合を確認しましょう。
一般的なサブリース契約における家賃保証率の相場は80~90%程度であることが多いですが、この家賃保証の割合は不動産管理会社や物件によって異なります。
物件の情報やエリアの情報、不動産管理会社の情報から、その家賃保証率が適切かどうかは自分自身で判断する必要があります。
以下の点をチェックして、物件の家賃保証率が適切に設定されているかを確認しておきましょう。
●物件周辺の賃料相場と入居率
●不動産管理会社の入居率
●物件周辺のエリアに不動産管理会社が精通しているか
(2)家賃保証の見直しが何年ごとに行われるか把握する
サブリースの契約書には、入居状況の悪化や周辺の家賃相場の減額など、不測の事態に備えて一定期間ごとに家賃の見直しができる旨の条文が記載されています。
その期間が何年ごとに設定されているかや過去の実績を確認しておきましょう。
●賃料の見直し周期は何年ごとか
●賃料の固定期間はどれくらいか
●賃料の値下げ下限額はあるか
●過去の見直し額の実績
サブリース契約は、契約時の数字だけでなく、数年、数十年が経過した後にアパート経営が黒字になっているかどうかを確認しておきましょう。
(3)免責期間の有無を確認する
サブリース契約には、免責期間が設定されるのが一般的です。
免責期間中は入居者がいて家賃収入があっても、家賃を支払われません。
免責期間は一般的に1~3ヶ月で設定されることが多いですが、それ以上の期間が設定されていることもあります。
また、再免責期間といって、退去者が出るたびに免責期間が設けられる場合もありますので、以下の免責期間の設定内容について確認しておきましょう。
●免責期間は何カ月か
●新築後、入居者退去後で免責期間に違いはあるか
●不動産管理会社が空室を埋めるスピードから判断して、その免責期間は適切か
(4)契約の中途解約が可能か確認する
サブリースの契約書には、中途解約についての条文も書かれています。
前提として、サブリース契約の場合、建物の貸し借りに関する法律(借地借家法)上ではアパートを借り上げることになる不動産管理会社の方が保護される立場となることが多いです。
そのため、中途解約についての条文次第では、いざ中途解約したいと考えたときにオーナーの意向で円滑に解約ができない場合があるので、しっかりと契約書を確認しましょう。
●契約からどれくらいの期間解約ができないか
●解約予告を何カ月前に行わなければならないか
●どんな場合に契約を解除できるか
●中途解約にかかる違約金はどれくらいか
(5)修繕費用は誰が負担するのかを確認する
サブリースの契約書には、物件について不動産管理会社が負担する修繕の内容が記載されています。
一般的には、簡易的な修繕はサブリース会社が負担し、経年劣化分などはオーナーが負担するパターンが多いです。
そのため、場合によっては修繕した結果、オーナーに対して高額な請求がなされることがあります。
契約書では、どのような範囲の修繕をサブリース会社が負担するのか確認しておきましょう。
●各種費用がそれぞれオーナー・不動産管理会社どちらの負担になるのか
●保証家賃や月々のローン返済を考慮すると、費用分担は適切かどうか
●想定外に発生する費用がないか
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サブリース契約は家賃保証や不動産管理会社による管理業務などにより、大家にとって負担の少ない不動産投資の手法であることがわかったはずです。
ただし、この記事で紹介したようなサブリース契約の抱えるデメリットも知ってしまうと簡単には手を出せないと感じる人も多いのではないでしょうか。
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