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二重課税に気をつけよう!外国税額控除で米国株投資をお得にする方法

2023.04.04 (最終更新:2023.10.24)

コラム記事82のメイン画像 会計士が教える「投資」の話

日本の株式市場が不況のため米国株に投資する人も増えてきています。米国企業は株主重視の経営を行い、高配当銘柄が多いです。しかし、外国への投資となるため、税金面での難しさを不安に感じている人もいるのではないでしょうか。 実際、米国と日本でどちらも課税されてしまう二重課税が発生してしまうケースがあります。この記事では二重課税が起きてしまうケースとその回避方法についてわかりやすく解説していきます。


米国株の税金には大きく2種類ある

米国株の取引にかかる税金は、国内株式と同じで以下の2種類があります。

(1)売却時の譲渡益課税

(2)配当金受け取り時の配当課税

 

売却時の譲渡益税は、日本国内での課税のみです。

しかし、配当金受け取り時の配当課税は、米国で課税されたあと、日本国内でも課税される二重課税となってしまうので注意が必要です。

 

(1)売却時の譲渡益税:米国での課税なし

米国株を扱う場合の税金として売却時の譲渡益税があり、これは米国での課税はありません。

主なポイントは以下の3点です。

●国内株と同じ税率

●為替差損益も対象

●損益通算が可能

それぞれを解説していきます。

 

 

国内株と同じ税率

米国株を売却して利益が出た場合の税率は、日本株と同じ税率です。

●所得税及び復興特別所得税:15.315%

●住民税:5%

合計:20.315%

 

譲渡益税には、米国での課税はないため、日本国内の20.315%での課税のみが対象です。

 

例えば、10万円の譲渡益に対する課税は

「10万円 × 20.315% = 2万315円」となります。

 

 

為替差損益も対象

為替レートの変動により発生する利益や損失は、雑所得として確定申告が必要となります。

しかし、米国株を保有している間、為替差損益は譲渡損益に含めて計算されるため、個別に計算して確定申告を行う必要はありません。

 

注意点として、米国株を売却してドルに換えた後、しばらくしてから日本円に換えて発生した為替差損益は、個別に確定申告する必要があります。

 

米国株を保有している間のみ、譲渡損益と一緒に確定申告を行えます。

 

 

損益通算が可能

米国株の譲渡差益は、国内株の譲渡損益などと損益通算できます。

 

源泉徴収ありの特定口座で取引すれば、同一証券会社内の取引は自動的に損益通算されます。

 

たとえば、米国株の取引で50万円の利益が出ても、日本株で20万円の損失がある場合、課税対象は、「50万円 – 20万円 = 30万円」です。

 

源泉徴収なしの特定口座や一般口座、複数の証券会社の間で損益通算する場合は、確定申告が必要なため、注意してください。

 

 

(2)配当金受け取り時の配当課税:米国での課税あり

米国株を扱う場合の税金として配当金受け取り時の配当課税があり、これは米国での課税があります。

主なポイントは以下の3点です。

●二重課税が発生する

●配当金の税金は源泉徴収

●NISA口座の米国株配当金は課税対象

それぞれを解説していきます。

 

 

二重課税が発生する

米国株の配当金は、日米租税条約米国内で課税された後、日本国内の税金が課せられる流れとなります。

 

税率はそれぞれ以下の通り。

●米国:10%

●日本:20.315%

 

たとえば、米国株の配当金が10万円の場合、

米国での課税:10万円 × 10% = 1万円

日本での課税対象:10万円 – 1万円 = 9万円

日本での課税:9万円 × 20.315% = 1万8283円

最終受取金額:9万円 – 1万8283円 = 7万1717円

 

このように米国株の配当金で10万円が出ても、米国と日本の2重課税となり、7万1717円しか手元に残りません。

 

合計すると、約28%が税金として取られています。

配当金の税金は源泉徴収

米国株の配当金は、米国と日本の税金が源泉徴収された金額が証券口座に入金されます。

 

 

米国の税金も日本国内の税金も源泉徴収されるため、基本的に確定申告は不要です。

 

しかし、米国と日本国内での二重課税を解消するため、外国税額控除を利用できるケースもあります。

詳細は次の章で解説していきます。

NISA口座の米国株配当金は課税対象

米国株の取引は、NISA口座を使ってもできます。

 

NISAとは、株式や債券を年間で決められた金額まで購入でき、特定期間中は、譲渡益税や配当課税が非課税になる制度です。

 

米国株を扱う場合、配当金にかかる米国内の税金10%は非課税とならないため、注意しなければなりません。

 

また、NISA口座で扱う米国株の配当金は二重課税されていないため、外国税額控除も受けられません。

 

 

二重課税を回避できる外国税額控除

米国株投資で得た配当金には、米国と日本どちらでも課税されてしまう二重課税の状態となります。

この税金が約28.3%もとられてしますので、手元に入る配当金は70%ほどになってしまいます。

 

そんな二重課税を回避するために「外国税額控除」があります。

外国税額控除は、外国で課税された分を日本の所得税や住民税から差し引く制度です。

 

確定申告で外国税額控除を申請すれば、米国で課税された10%分が還付されます。

 

通常、特定口座(源泉徴収あり)では確定申告は不要ですが、二重課税となっている場合は、確定申告で外国税額控除を申請することで、米国の10%分の一部または全部を取り戻せるんです。

 

さらに、米国分の税金が控除限度額を上回る場合は、復興特別所得税の控除限度額から差し引くことができます。

 

 

限度額を求める計算式

所得税の控除限度額=その年分の所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)

復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)

※計算式は No.1240 居住者に係る外国税額控除|国税庁 より引用

 

 

外国税額控除の手続き方法

外国税額控除を受けるには、確定申告をする必要があります。

確定申告書を提出する際には以下の書類を添付します。

 

●外国税額控除に関する明細書(居住者用)

●外国所得税額を課されたことを証する書類

 

証明書類は、特定口座で株式を取引している方であれば証券会社等が毎年1月に交付してくれる「特定口座年間取引報告書」に外国所得税の額が記載されるのでこれを使うことができます。

 

税務署に書類の持参や郵送をせず、e-Taxを利用して確定申告をする方は、明細の入力は必要なものの、証明書類の添付は不要です。

 

ただし、法定申告期限から5年間は税務署から問い合わせがあった時のために手元に証明書類を保管しておく必要があります。

 

 

二重課税を回避するための確定申告

外国税額控除を受けるには、確定申告で「総合課税」か「申告分離課税」のどちらかを選ぶ必要があります。

どちらを選んでも外国税額控除を受けられますが、どちらで申告するのがお得かは個人の所得額や配偶者控除や住宅ローン控除などの家庭状況、そして株式取引の状況によって異なります。

 

 

総合課税での確定申告

総合課税で確定申告をする場合は、給与など他の課税所得と合算して所得税の納税額を計算します。

総合課税は所得が多くなるほど税率が増える累進課税です。課税所得ごとの税率は以下の表の通りになります。

出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

 

 

給与なども合わせた課税所得の税率が20.315%を下回れば、源泉徴収されるよりも、総合課税で確定申告した方が税率を低くすることができます。

表を見ると課税所得が330万円以下の方は総合課税だと税率を抑えることができます。

 

 

申告分離課税での確定申告

申告分離課税で確定申告をする場合は、米国株配当金を株式譲渡損益などと損益通算できます。

特定口座(源泉徴収あり)の口座で取引している場合は、同一証券会社内であれば自動的に損益通算されます。

一方で、複数の証券会社での取引がある場合の損益通算は必ず確定申告が必要です。

他の証券会社の株式売買で損失が出ていれば、米国株の配当金と損益通算することで、源泉徴収された配当課税を取り戻せます。

 

 

外国税額控除の注意点

二重課税を取り戻せるので外国税額控除を活用することはお得です。

ただし、状況によっては控除の対象にならなかったり、所得の増加によって保険料の増加になったりする場合があるので注意が必要です。

 

 

NISAやつみたてNISAは外国税額控除の対象外

NISAやつみたてNISAでも、米国株式投資をすることができます。

しかし、NISAやつみたてNISAでは、外国税額控除は使えません。 

理由はNISAやつみたてNISAは、所得税の非課税制度のひとつだからです。

NISAやつみたてNISAで米国株式に投資をしても、所得税は非課税でが、分配金に対しては米国の税金がかかります。

日本の税金は非課税、外国の税金は課税という状況になるため、二重課税とならず、外国税額控除の対象からは外れるため、注意してください。

 

 

国民健康保険料・介護保険料が上がってしまうことも

個人事業主や定年退職をした方で、国民健康保険に加入している方は、株式の配当所得に注意が必要です。

株式の配当所得は、確定申告をすると国民健康保険料の算定基礎となる所得に含まれます。

これは、申告分離課税を選択しても総合課税を選択してもどちらも同じです。

外国税額控除で還付される金額と、所得の増加により増額となってしまう国民健康保険料を比較してから確定申告をするかどうかの判断が必要になります。

また、介護保険料も所得に応じて納付額が増加するのでこちらも合わせて確定申告をするか検討しましょう。

 

 

米国株には配当控除が適用されない

配当所得を総合課税で申告すると、累進課税により分離課税よりも高い税率になってしまうことがあります。

国内株式の場合は、総合課税を選択することで配当控除を受けることができます。

しかし、米国株は配当控除を受けることができないので注意が必要です。

 

 

まとめ

この記事では米国株の二重課税を避ける方法について解説しました。

米国株投資をする方は課税に注意が必要です。

売却時の譲渡益に関しては日本での課税だけになりますが、配当金については米国と日本での課税があります。

二重課税となった場合には確定申告で外国税額控除を活用して還付できる税金はしっかり取り戻しましょう。

 

 

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