不動産投資ローンとは
不動産投資ローンとは、事業として不動産を購入するための資金を借りるローンです。
不動産投資ローンと住宅ローンはよく比較されますが、自分が住まない投資用の物件の購入には住宅ローンを組むことができません。
不動産投資ローンと住宅ローンの違いは下記の通りです。
●不動産投資ローンやアパートローン:事業用のローン
●住宅ローン:自己居住用のローン
住宅ローンはマイホームを購入するためのローンで、住宅ローンで購入した物件を貸し出すことができないので、賃貸に出す目的であれば不動産投資ローンを活用して物件を購入することになります。この2つのローンは金利や融資条件が異なるので注意しましょう。
不動産投資ローンの金利は2種類
不動産投資を始める際、金利は非常に重要な要素となります。
金利の基本的な概念や影響について理解しておくことは、投資家にとって不可欠です。
ここでは、金利の種類と特徴について解説します。
(1)変動金利
変動金利は、金利が市場の動向に応じて変動するタイプの金利です。例えば、現在の日本の短期プライムレート(銀行が優良企業に貸し出す際の基準金利)は約1.475%であり、それに銀行のスプレッドが加わることでローン金利が決定されます。
参考:長・短期プライムレート(主要行)の推移 : 日本銀行 Bank of Japan
通常は半年ごとに金利が見直され、初期の金利は固定金利よりも低めに設定されることが多いです。しかし、将来的な金利上昇リスクがあり、金利が上昇すると返済額が増加する可能性があります。
たとえば、1%の金利上昇がローン残高に与える影響をシミュレーションすると、1000万円の借入残高の場合、年間で約10万円の利息負担増加となります。
【計算方法】年間利息 = 借入残高(1000万円)× 金利(1%)
10,000,000円 × 0.01 = 100,000円
(2)固定金利
固定金利は、ローンの期間中、金利が一定で変わらないタイプの金利です。
毎月の返済額が固定されるため、将来の返済計画が立てやすく、金利上昇のリスクを避けることができます。
ただし、変動金利よりも初期の金利が高めに設定されることが多いです。
固定金利の中には、返済開始から一定期間の金利を変動させない「固定期間選択型金利」という種類もあります。
5年や10年といった、一定期間のみ固定金利が適用され、期間が経過した時点で次の金利が決まります。
返済スタート直後の収支を安定させやすく、また全期間固定よりも金利が安いというメリットがあります。
不動産投資ローンの金利相場
不動産投資ローンの金利は、金融機関やローンの種類によって異なります。
以下に主要な金融機関の金利相場について解説します。
(1)都市銀行(メガバンク)の金利相場
都市銀行(メガバンク)は大手の銀行であり、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3つの銀行を指します。
これに、りそな銀行を加えて4大メガバンクとすることもあります。
不動産投資ローンの金利相場は、どこも1%前後とされています。
条件が整えばさらに低金利での融資も可能ですが、審査が非常に厳しい傾向にあります。
(2)地方銀行の金利相場
地方銀行は、地域密着型の銀行です。
都市銀行に比べて金利が高いので、都市銀行では融資が難しいけれど利回りの高い物件や、少ない融資額で物件を購入する際におすすめです。
地方銀行の金利相場は1.5%〜4.5%とされています。
地方銀行は不動産投資の融資に対する姿勢が各銀行によって様々です。
不動産融資に積極的な所もあれば消極的な所もあります。
積極的な銀行としては、首都圏では横浜銀行やスルガ銀行、関西エリアでは関西みらい銀行などが挙げられます。
(3)信用金庫・信用組合の金利相場
信用金庫や信用組合は、地域の中小企業や個人を対象とした金融機関です。
地方銀行以上に地元の関係を活かした融資が期待できます。
金利は地方銀行とほぼ同等の金利が適用されています。
(4)日本政策金融公庫の金利相場
日本政策金融公庫は、政府が運営する金融機関です。一般的な金融機関とは違い、貸し付けで利益を得ようとはしていない点が最大の特徴で、他の金融機関よりも、低い金利で融資を受けられる可能性があります。
不動産投資を目的として日本政策金融公庫でローンを組む場合の金利相場は、基準金利で1〜2%程度です。
特に、中小企業や新規事業者向けの融資が充実しており、不動産投資にも利用できます。
最大で4,800万円の融資限度額が設けられていたり、取得する物件を担保として提供する必要があったりといった条件があるので注意が必要です。
(5)ノンバンクの金利相場
ノンバンクは、銀行以外の金融機関で、クレジットカード会社や信販会社、消費者金融や不動産投資ローンに特化した会社などが挙げられます。
融資の条件が比較的緩やかですが、金利は高めに設定されていて3〜5%程度が目安となります。
不動産投資で金利のシミュレーション
金利が不動産投資に与える影響を理解するためには、シミュレーションが有効です。
以下に金利が与える主な影響を挙げます。
ローン返済額の具体例
金利が高ければ、毎月のローン返済額も増加します。具体的に、借入金額3,000万円、返済期間30年のローンを例にとり、金利1%と2%での月々の返済額を比較してみましょう。
<金利1%の場合>
●借入金額:3,000万円
●返済期間:30年
●金利:1%
この条件での月々の返済額は約96,000円になります。
これは、元利均等返済方式(毎月の返済額が一定)を前提としています。
3,000万円 × 0.01 = 30万円(年間利息)
年間の返済額は、元本返済分と利息分を合わせて計算されます。
30万円(年間利息) + 元本返済分 = 年間返済額
月々の返済額はこれを12で割ります。
元本返済分を加えた月々の返済額は約96,000円です。
<金利2%の場合>
●借入金額:3,000万円
●返済期間:30年
●金利:2%
この条件での月々の返済額は約110,000円になります。
3,000万円 × 0.02 = 60万円(年間利息)
年間の返済額は、元本返済分と利息分を合わせて計算されます。
60万円(年間利息) + 元本返済分 = 年間返済額
月々の返済額はこれを12で割ります。
元本返済分を加えた月々の返済額は約110,000円です。
金利1%の場合の月々の返済額は約96,000円ですが、金利2%の場合は約110,000円となり、毎月の返済額に約14,000円の差が生じます。
年間では、
14,000円 × 12 = 168,000円
つまり、金利が1%上昇すると年間で約168,000円の負担増加となります。
このように、金利の上昇はローン返済額に大きな影響を与えます。
具体的な数値を用いて金利の影響を理解することで、返済計画を立てる際に金利リスクをより現実的に把握することができます。
金利が変動する場合には、予算に余裕を持たせることが重要です。
低金利で不動産投資ローンを借りるには
安い金利で不動産投資ローンを借りるためには、以下の方法を検討することが重要です。
(1) 複数の金融機関に相談する
一つの金融機関だけでなく、複数の金融機関の金利条件を比較することで、最適な条件を見つけることができます。
都市銀行、地方銀行、信用金庫などに同時に相談し、最も有利な条件を引き出しましょう。
(2)不動産会社が提携する金融機関の利用する
不動産会社と提携している金融機関からの融資は、条件が良い場合が多いです。
大手不動産会社が提携している金融機関からの融資は、通常よりも低金利で提供されることがあります。
(3)金融機関からの信頼を高める
自己資金を増やしたり、価値の高い物件を見つけたりすることで、金融機関からの信用を得やすくなります。
例えば、借入額の20%以上を自己資金で賄うことで、金利を低く設定してもらえる可能性が高まります。
他にも、不動産賃貸業に関して、事業計画書を作成しておくことや、不動産投資ローンの審査前にその他の借入を返済しておくことで金融機関からの信頼は高まります。
年収・属性別の不動産投資ローンの選び方
不動産投資ローンの選び方は、投資家の年収や属性によって大きく異なります。
以下に、具体的な年収・属性別の不動産投資ローンの選び方を解説します。
年収800万円以上の高年収投資家
高年収投資家(年収800万円以上)の場合、都市銀行(メガバンク)から低金利での融資を受けやすいです。
この層の投資家は、以下のようなメリットがあります。
低金利:都市銀行は、信用力の高い投資家に対して、他の金融機関よりも低金利での融資を提供することが多いです。
例えば、1.0%から1.5%の金利での融資が期待できます。
高額融資:信用力が高いため、1億円以上の高額な融資を受けることも可能です。
これにより、大型の不動産物件にも投資できるチャンスが広がります。
融資のスピード:都市銀行は、審査プロセスがスムーズで迅速に進むことが多いため、物件取得のタイミングを逃さずに投資を行えます。
年収400万円から800万円の中堅年収投資家
中堅年収投資家(年収400万円から800万円)の場合、地方銀行や信用金庫を利用することが適しています。
この層の投資家には、地方銀行や信用金庫を利用することで以下のようなメリットを受けやすいです。
地域密着型のサービス:地方銀行や信用金庫は、地域に密着したサービスを提供しており、地域の経済状況や投資物件の特性をよく理解しています。
柔軟な審査:都市銀行に比べて審査基準が柔軟であり、特に地元での実績や信頼がある場合には、融資を受けやすいです。
金利条件:金利は都市銀行ほど低くはないものの、2.0%から3.0%程度の比較的低金利での融資を受けることができます。
年収400万円未満の投資家
年収400万円未満の投資家は、信用金庫や日本政策金融公庫を検討することが重要です。
この層の投資家にとっては、以下のような戦略が考えられます。
政府系金融機関の利用:日本政策金融公庫は、低金利での融資を提供しており、特に中小規模の不動産投資に適しています。
金利は1.5%から2.5%の範囲で、自己資金を多く用意できる場合には有利な条件で融資を受けることが可能です。
信用金庫の利用:信用金庫は、地域の小規模投資家を支援するための柔軟な融資制度を持っており、年収が低くても融資を受けられる可能性があります。
金利は2.5%から4.0%程度です。
少額物件への投資:年収が低いため、高額な物件よりも比較的少額な物件への投資を検討することが現実的です。
区分マンションや築古の戸建て物件などが適しています。
投資家の年収や属性によって、不動産投資ローンの選び方は大きく異なります。
高年収の投資家は都市銀行を、中堅年収の投資家は地方銀行や信用金庫を、そして低年収の投資家は信用金庫や日本政策金融公庫を利用することで、最適な融資条件を見つけることができます。
それぞれの金融機関の特徴を理解し、自分の属性に合ったローンを選ぶことが不動産投資の成功に繋がります。
不動産投資ローン金利に関してのよくある質問
不動産投資ローンの金利について、よくある質問をまとめました。
Q: 変動金利と固定金利のどちらが良いですか?
A: 将来の金利上昇リスクを避けたい場合は固定金利、初期の返済負担を軽減したい場合は変動金利が適しています。例えば、金利上昇リスクが高い時期には固定金利を選ぶ方が安全です。
Q: 金利交渉は可能ですか?
A: はい、金融機関との交渉によって金利を引き下げることが可能です。特に複数の金融機関の条件を提示することで交渉が有利に進むことがあります。例えば、他行の金利条件を提示して交渉することで、0.1%程度の金利引き下げが実現することがあります。
以下の記事では、金利上昇が不動産投資のローン返済に関わる影響について解説しています。
現物不動産投資では、金利上昇によってローンの返済額が増加するなどのデメリットがあります。
そこで、不動産投資の他の選択肢となる「不動産クラウドファンディング」や「REIT」などの方法もあります。
不動産クラウドファンディングであれば、金利上昇のよい影響を受けられる点が魅力です。
金利の理解で成功に近づく不動産投資
不動産投資における金利は、投資の成功を左右する重要な要素です。
そのためにも、金利の種類や金融機関ごとの相場を理解し、自分の属性に合ったローンを選ぶことで、返済計画を安定させることができます。
また、低金利で融資を受けるための具体的な方法を実践することも大切です。
年収や属性によって適した金融機関を選び、最適な金利条件を見つけることで、不動産投資を成功に導きましょう。
将来の金利変動リスクをしっかりと見据え、余裕を持った予算計画を立てることが重要です。
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