団体信用生命保険(団信)とは
団体信用生命保険(団信)とは、保険の加入者(被保険者)が死亡または高度障害状態となった時などに、保険が適用されてローンの残債が0円になる保険です。
万が一の時でも、残された家族にはローンが返済された資産が残ることになります。
そのため、毎月の不動産収入や不動産の売却により、お金を得ることができます。
団信は契約者および保険金受取人は融資先の金融機関となり、被保険者は債務者である不動産オーナーになります。
一般的に、保険料はローン残高に応じて金利に上乗せされています。
団信の保障額はローン残額、契約期間はローン完済までとなり、保障額や保障期間を選べる一般の生命保険とは仕組みが違うので正しく理解しておきましょう。
団信は、契約する際に本人の健康状態の確認が必須となります。
そのため、健康状態に問題がある場合には、団体信用保険に加入できない可能性もあります。
取り扱い金融機関によっては「ワイド団信」と言って、高血圧症や糖尿病、肝機能障害などの持病がある方でも加入できるプランもありますが、保険料となるローンの金利への上乗せ率が高くなります。
また、法人として不動産を取得する場合は団信を利用することはできないので注意が必要です。
団信が生命保険の代わりになる理由
不動産購入の際に活用できる団信が生命保険の代わりになると言われる理由は「残された家族に資産を引き継ぐことできる点が共通しているから」です。
不動産投資を始める際には、ほとんどの場合ローンを組みます。
この際に、債務者が死亡した場合にローン残債が免除となる「団体信用生命保険」(団信)に加入します。
その結果、残された家族にローンの支払い義務が発生することなく、さらには遺族が不動産の所有権を相続できます。
つまり、団信が生命保険の代わりになると言うのは「生命保険の死亡保険金の代わりに、不動産という現物資産を残すことができる」ことを指すのです。
生命保険の場合、2,000万円の死亡保障を得ようとすると、35歳男性で終身型なら毎月29,000円程の掛け金を、65歳までの定期で掛け捨て型なら毎月5,000円程度は支払う必要があります。
一方、不動産投資の場合、2,000万円のワンルームマンションでの団信への加入をシュミレーションしてみます。
団信の負担額は、ローン金利に含まれているため、算出することはできません。
昔は団信外付けという、ローン金利とは別に金利上乗せで計算できたりしたこともありました。
当時でだいたい0.3%前後が多かったといわれています。
そこで、今回参考程度にシミュレーションしてみました。
2,000万円、35年、借入金利2.0%、(団信金利0.3%)
①団信金利を含んだ場合
2,000万円、35年、金利2.3% 毎月の返済69,373円
②団信金利を含まない場合
2,000万円、35年、金利2.0% 毎月の返済66,252円
①ー②=3,121円(団信の負担額とみなす)
あくまでも参考シミュレーションですが、団信負担額は上記のように想定されます。
団信を生命保険として捉えるなら、毎月の実質負担額は、「終身保険(貯蓄型)>定期保険(掛け捨て型)>不動産投資」の順になります。
さらに保証面で考えると「不動産投資>終身保険(貯蓄型)>定期保険(掛け捨て型)」の順で大きな保障を取れる可能性があります。
団信の保障額はローン残債によって変動するので、保障額が少なくなっていきますが、不動産投資の場合は家賃収入を遺族は受け取れるので、団信の保障額より多くの資産を手にすることも可能になります。
団信と生命保険の違い
それでは、不動産購入時に加入する団信と、一般的な生命保険との違いはどこにあるのでしょうか。被保険者が死亡したときに保険金が支払われる死亡保険を例に比べていきます。
生命保険(死亡保険)には、定期保険・終身保険・収入保障保険などの種類があり、契約時に加入期間や保険料、貯蓄型、掛け捨て型、対象となる保障内容などを選択することができます。
保険の加入期間は、一般的な生命保険は契約時に定めた期間ですが、団信はローンを完済した時点で終了となるため、加入期間はローン年数となります。
一般的な生命保険は、被保険者の年齢や性別等によって保険料が異なります。
年齢が高くなるにつれて保険料も上がっていくケースが多いです。
しかし団信の場合は、加入する条件さえ満たしていれば、年齢による保険料の差はありません。
保険料の支払い方法にも違いがあります。一般的な生命保険の支払いは、年払い・半年払い・月払いなどを選べる場合が多いです。
一方、団信は毎月のローン返済の金利に含まれているのが一般的です。
保険料はローンの返済利息に上乗せされ、金融機関が保険会社へ団体信用生命保険料を支払います。
注意したいのは、一般的な生命保険では、支払った保険料は所得控除の一つである生命保険控除の対象になりますが、団信では保険料は生命保険控除の対象とならない点です。
また、保障の内容(期間や金額など)についても、一般的な保険は契約時に定められた内容となりますが、団信は保障がおりる時点(死亡・高度障害状態など)でのローン残債の額となります。
一口に団信といっても、ここ最近は保障の範囲や種類が増えています。
死亡時や高度障害状態となった時に保険金が支払われる基本的な保障内容のほかに、「がん団信」や「生活習慣病団信」といったものも出てきています。
一般的には、保障内容が増えると、ローンの返済金利に保険料をさらに上乗せして支払うことになります(個別の契約内容によって異なる場合があります)。
生命保険として団信を使うことの注意点
不動産投資を始めて団信に加入することで、生命保険としての機能が含まれることになります。
団信で生命保険をカバーできるのであれば、生命保険を解約しようと考える方もいるかもしれません。
しかし、だからといって安易に生命保険を解約するのではなく、大切な家族に充分な保障をのこせるように、保障の内容を吟味して必要であればファイナンシャルプランナーや保険の専門家に相談してみるのもいいでしょう。
団信は不動産投資をする際に心強い一つのサービスですが、不動産は投資であるという点を忘れてはいけません。
団信を生命保険代わりに使うことに気を取られて、不動産投資で団信を使う上でのリスクを見失わないようにしましょう。
リスクとして注意することは以下の3つがあげられます。
1.運用中に損失が出る可能性
万が一の際に資産として家族に不動産を残そうと思っていても、運用中に損失が出てしまう可能性があります。
たとえば、以下のようなリスクが考えられます。
・空室
・築年数の経過による家賃の下落・金利の上昇
・天災による建物損壊
・入居者とのトラブル
これらのリスクに備えるには、長期的な資金計画や不動産管理が必要となります。
2.想定の売却額がつかない可能性
生命保険の代わりになると考えて購入した物件であっても、将来的にいくらで売却できるかはわかりません。
想定した売却額であれば良いのですが、想定額での売却ができない可能性もあります。
不動産は築年数の経過とともに価格が下がるため、保険として見た場合にいくらの資産を残せるかわかりません。
不動産価格は需要と供給で変動するだけでなく、金利の上昇によっても不動産を購入できる層が減少することもあります。
3.収入として入る家賃低下の可能性
基本的に、不動産は築年数の経過によって家賃が下がってしまうため、購入当初に想定していた家賃収入を家族に残せない可能性もあります。
月8万円の家賃収入を家族に残せると想定していた物件であっても、家賃の低下によって家族が満足した生活を送るには不十分な金額になる可能性があります。
入居者がいる状態で相続できれば、ローンがなくなった状態で月々の家賃収入を得られますが、空室だと毎月の管理費や修繕積立金、毎年の固定資産税で支出のみが膨らんでいくため、家族に残せる安定した収入はない状態になってしまいます。
家族に十分な資産として不動産を残すのであれば、定期的に安定した収入を見込める不動産を購入するように適切に選定することが必要です。
不動産選びにおいては、価値が下がらないようなエリアやブランドマンションのような物件をしっかりと見定めましょう。
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まとめ
不動産投資をすると、ローンを借りるときに同時に団信に加入することが多いため、生命保険に加入しているのと同じような状況を作ることができます。
一般的な生命保険のように毎月の保険料の支払いを気にしなくていいので心理的な負担も下がります。
しかし、この記事でお伝えしたいことは不動産投資がそのまま、生命保険の代わりになるということではありません。
不動産投資は生命保険の代わりとして有効であるものの、物件やエリアの選定といった不動産投資の本質をおさえて収益を得ることが何よりも重要です。
団信の生命保険としての活用は不動産投資の副産物くらいの心持ちで捉えるようにしましょう。
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