ふるさと納税とは
ふるさと納税は全国から自分の応援したい自治体に寄附をするという形で税金を納める制度です。
寄附する人は実質的な自己負担金2,000円で、お礼として返礼品がもらえるだけでなく、自己負担金を除いて原則として全額が所得税と住民税から控除されます。これには上限があるので注意が必要です。
自治体は子育てや教育、地域・産業振興などの行政サービスを寄附の使い道として用意しています。
寄附をする人は寄附金の使い道を選べるので、自治体への応援の気持ちを強くもてます。
なお、ふるさと納税について以下の記事にまとめています。ぜひともご覧ください。
不動産所得がある会社員はふるさと納税を忘れずに!【2023年版】
ふるさと納税の控除限度額や計算方法を解説
ふるさと納税で控除を受ける場合は上限額があります。
上限額を知らないと、気がついたら上限額を超えてふるさと納税のメリットを十分に受けられないかもしれません。
この章では、以下の2点について解説していきます。
(1)所得税と住民税からの控除額の計算方法
(2)全額控除されるふるさと納税額の早見表
それぞれ解説していきます。ぜひともいj分の上限額を知るための参考にしてみてください。
(1)所得税と住民税からの控除額の計算方法
ふるさと納税の控除限度額は、所得税からの控除と住民税からの控除の合算となります。
所得税と住民税からの控除額の計算方法と全額控除されるふるさと納税額の目安はそれぞれ以下のとおりです。
・所得税からの控除
(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。
・住民税からの控除(基本分)
(ふるさと納税額-2,000円)× 10%
なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。
・住民税からの控除(特例分)
(ふるさと納税額-2,000円)×(90%-所得税の税率)
(2)全額控除されるふるさと納税額の早見表
以下の表は、自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税(復興特別所得税を含む)及び個人住民税から控除される、ふるさと納税額の目安一覧です。
ふるさと納税ができる限度額は、年収や家族構成などによって異なります。
上記の表は、住宅ローン控除や医療費控除など、他の控除を受けていない給与所得者のケースです。
年金収入のみの方や不動産所得などがある事業者の方、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けている給与所得者の方の控除額上限は表とは異なるので注意してください。
また、社会保険料控除額については給与収入の15%と仮定しています。
総務省のサイトでは、控除額のシミュレーションができるので試してみてください。
なお、具体的な計算は、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
不動産所得があるとふるさと納税の限度額が上がる
不動産所得があると、給与所得に不動産所得が加わるため控除限度額が上がり、ふるさと納税で寄附できる金額が上がります。
寄附金額が上がれば、返礼品の選択肢が増えたり、寄附先の自治体を増やしたりできるメリットがあります。
ちなみに、不動産所得が赤字の場合は所得が減少するので、ふるさと納税の控除限度額は下がります。
出典:所得が年金の方、自営業者の方のふるさと納税控除上限額について
ふるさと納税の控除上限額の計算には、「住民税所得割額」が必要です。
住民税所得税割額は、毎年5月か6月に住んでいる自治体から送られる「住民税決定通知書」に記載されています。
これがわからない場合は、課税所得金額の10%程度がおおよその住民税所得税割額となります。
たとえば、課税所得金額が300万円の場合は、寄附可能上限額を出すために25.066%をかけて自己負担金額の2,000円を足して計算します。
「寄附可能上限額」=「住民税所得割額」 × 25.066% + 2,000円
課税所得金額が300万円の人の場合、寄附可能上限額は77,000円程度となります。
不動産所得による限度額変化のシュミレーション
不動産所得によってふるさと納税の寄附控除限度額がどのように変わるのかシミュレーションしていきます。
条件を以下のように設定します。
・給与収入500万円
・家族構成は本人、配偶者と子供(高校生)1人の3人家族
・社会保険料控除額などの所得控除は、給与収入の15%
シミュレーションの内容は以下のとおりです。
(1)不動産所得がない場合の限度額をシミュレーション
(2)不動産所得100万円の場合の限度額をシミュレーション
(3)不動産所得200万円の場合の限度額をシミュレーション
(4)不動産所得が赤字の場合の限度額
それぞれを見ていきましょう。
(1)不動産所得がない場合の限度額をシュミレーション
不動産所得がなく給与所得のみの場合、限度額は「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」の項目で記載した表を参照します。
給与収入500万円の場合のふるさと納税限度額は49,000円です。
(2)不動産所得100万円の場合の限度額をシミュレーション
まず、給与収入から下記の5つの控除の合計額(343万円)を差し引きます。
・給与所得控除額 500万円×20%+44万=144万円
・基礎控除 48万円
・配偶者控除 38万円
・扶養控除 38万円
・社会保険料控除額などの所得控除 75万円
給与収入(500万円)-控除合計(343万円)=157万円
これに不動産所得の100万円を合算すると課税所得金額は257万円になります。
課税所得金額が257万円の場合は寄附可能上限額を出すために25.066%をかけて自己負担金額の2,000円を足して計算します。また、「住民税所得割額」は課税所得額×10%とします。
「寄附可能上限額」=「住民税所得割額」 × 25.066% + 2,000円
「寄附可能上限額」=(2,570,000円×10%) × 25.066% + 2,000円 = 66,420円
給与所得だけの場合に比べて、約17,000円も限度額がアップしました。
(3)不動産所得200万円の場合の限度額をシミュレーション
まず、給与収入から下記の5つの控除の合計額(343万円)を差し引きます。
・給与所得控除額 500万円×20%+44万=144万円
・基礎控除 48万円
・配偶者控除 38万円
・扶養控除 38万円
・社会保険料控除額などの所得控除 75万円
給与収入500万円-控除合計343万円=157万円
これに不動産所得の200万円を合算すると課税所得金額は357万円になります。
課税所得金額が357万円の場合は寄附可能上限額を出すために25.066%をかけて自己負担金額の2,000円を足して計算します。
また、「住民税所得割額」は課税所得額×10%とします。
「寄附可能上限額」=「住民税所得割額」 × 28.744% + 2,000円
「寄附可能上限額」=(3,570,000円×10%) × 28.744% + 2,000円 = 104,616円
給与所得だけよりも限度額が約55,000円のアップ、不動産所得100万円と比べて約38,000円も増加しました。
不動産投資で収益が上がれば上がるほど、ふるさと納税を活用できる額が多くなります。
(4)不動産所得が赤字の場合の限度額
まず、給与収入から下記の5つの控除の合計額(343万円)を差し引きます。
・給与所得控除額 500万円×20%+44万=144万円
・基礎控除 48万円
・配偶者控除 38万円
・扶養控除 38万円
・社会保険料控除額などの所得控除 75万円
給与収入(500万円)-控除合計(343万円)=157万円
これに不動産所得で100万円の赤字が出たとします。所得を合算すると課税所得金額は57万円になります。
課税所得金額が57万円の場合は寄附可能上限額を出すために23.559%をかけて自己負担金額の2,000円を足して計算します。また、「住民税所得割額」は課税所得額×10%とします。
「寄附可能上限額」=「住民税所得割額」 × 23.559% + 2,000円
「寄附可能上限額」=(570,000円×10%) × 23.559% + 2,000円 = 15,428円
初期費用や修繕などで費用がかかって不動産所得がマイナスになることもあります。
その際はふるさと納税の限度額が減少するのでしっかり計算しておきましょう。
(1)~(4)をまとめると以下のようになります。
不動産所得の金額次第で総所得が変わるため、ふるさと納税の控除上限額も変わることがわかりました。
不動産所得がある場合のふるさと納税の注意点
不動産所得がある方がふるさと納税をする場合は主に以下4つの注意点があります。
(1)不動産所得が20万円を超えるとワンストップ特例制度が使えない
(2)不動産所得を含めた控除限度額の計算をする
(3)副業として不動産投資を行っている場合は会社に知られてしまう
(4)高額の返礼品は課税対象になる
基本的には確定申告が必要になるのでサラリーマンの年末調整だけをしてきた人にとっては手間に感じるかもしれません。
それぞれを解説していきます。ぜひ参考にしてください。
(1)不動産所得が20万円を超えるとワンストップ特例制度が使えない
年末調整だけで普段、確定申告をしないサラリーマンでも、不動産所得がある場合に確定申告をすると、ワンストップ特例制度を利用することができません。
ワンストップ特例制度とは、寄附した自治体の数が5つ以下の場合は、自治体へ申請書を提出するだけで確定申告が不要になる制度です。
確定申告をする場合は気をつけましょう。
また、医療費控除や初年度の住宅ローン控除など、確定申告をしないと適用できない制度を利用する場合もワンストップ特例制度は使えませんのでご注意ください。
確定申告をするつもりがなくて、ふるさと納税をしてワンストップ特例制度の申請書を提出した人もいるかもしれません。
しかし、確定申告をした時点で、ワンストップ特例制度の申請は無効になるので確定申告書の「寄附金控除」にあらためてふるさと納税額を記載してください。
(2)不動産所得を含めた控除限度額の計算をする
不動産所得がある場合、年収の計算で給与収入と不動産所得の合算を忘れないようにしましょう。
誤ってその所得を含めずに計算をすると控除額が余ってしまう可能性があります。
また、正しく計算しないと控除額を超えてしまう事態も起こります。
不動産所得があると限度額の目安の計算方法が変わります。
一般的な給与所得のみの場合のシュミレーションで計算せず、事業所得がある場合の計算式でシュミレーションしてください。
(3)不動産投資を行っている場合は会社に知られてしまう
給与所得と不動産所得を合算した金額で確定申告を行うと、確定申告の情報は、勤務先から住んでいる自治体に引き継がれます。
自治体で算定をした住民税は、「主たる給与の支払を受けている勤務先」を通じて徴収されるため、不動産投資を行っていることが会社に知られてしまいます。
これはその他の副業においても同じ状況が起こりますので、ご注意ください。
なお、副業禁止の場合は不動産投資を行うのは難しいケースが多いですが、不動産クラウドファンディングは出来る場合が多くあります。
以下の記事で、副業禁止でもできる不動産クラウドファンディングについて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
不動産クラウドファンディングは副業禁止でもできる?会社員や公務員の投資におすすめな理由
(4)高額の返礼品は課税対象になる
ふるさと納税の返礼品が高額な場合は、「一時所得」として課税対象となることがあります。
年間50万円までは非課税ですが、返礼品の額が50万円を超えると所得とみなされ、確定申告をしなければなりません。
多額のふるさと納税をする場合には、注意が必要です。
まとめ
不動産所得がプラスになっている場合は控除限度額が上がり、より多くふるさと納税をすることができます。
ふるさと納税額が増えれば、より魅力的な返礼品を選ぶことができたり、より多くの自治体に寄附をして応援したりすることができます。
もちろん、給与所得に不動産所得を合算した総所得金額を事前にしっかり確認することを忘れてはいけません。
限度額以上のふるさと納税は控除できないので、返礼品のお買い物をしただけといった事態になってしまいます。
不動産所得がある人は、ふるさと納税を有効に活用して返礼品や自治体の応援を楽しみましょう。
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