日本の空き家問題の現状
空き家の増加傾向
日本の空き家問題は、静かにしかし確実に深刻化しています。
総務省が5年ごとに実施する住宅・土地統計調査の最新データ(2024年)によると、2023年時点での全国の空き家数は約900万戸に達し、空き家率は13.8%と過去最高を記録しました。
これは、実に7軒に1軒が空き家という驚くべき状況です。
さらに注目すべきは、この数字の推移です。
2018年の調査と比較すると、わずか5年間で約51万戸も増加しています。
専門家の間では、この傾向が今後も続くと予測されており、2033年には空き家率が30%を超えるという衝撃的な予測もあります。
出典:令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果
空き家増加の背景
この急激な空き家の増加には、複数の要因が絡み合っています。
主な要因として以下が挙げられます。
●人口減少と高齢化
●相続問題
●建物の老朽化
●地方からの人口流出
人口減少と高齢化:日本の総人口は2008年をピークに減少に転じ、2024年7月1日時点で約1億2396万人となっています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2048年には1億人を割り込むと予測されています。
また、65歳以上の高齢者人口は増加を続け、2024年2月1日時点で全人口の約29.2%を占めています。
相続問題:高齢者が所有する家屋が相続されても、相続人が別の場所に居住している場合や、相続税対策として空き家のまま保有されるケースが増加しています。
建物の老朽化:日本の住宅の平均寿命は欧米に比べて短く、約30年と言われています。
老朽化した家屋は修繕費用がかさむため、放置されやすい傾向にあります。
地方からの人口流出:東京圏への一極集中が続いており、15歳〜29歳の若者の2023年の東京への転入超過数は10万3201人に達しました。
出典:東京への若者の転入超過数がついに10万人超え!過去最高を更新した理由とは!? | 不動産投資コラム | メールマガジン | 日本財託
これらの要因が複雑に絡み合い、空き家の増加に拍車をかけています。
特に深刻なのは地方都市の状況です。
例えば、2023年の調査では、和歌山県と徳島県が21.2%、山梨県が20.5%と、空き家率が20%を超える県も出現しています。
一部の過疎地域では、空き家率が30%を超える自治体も珍しくありません。
この状況は確かに社会問題として憂慮すべきものですが、不動産投資家の視点から見れば、大きなチャンスでもあります。
適切な戦略と知識を持って取り組めば、社会問題の解決に貢献しながら、自身の資産形成にもつながる可能性を秘めているのです。
次の章では、この空き家問題がなぜ投資チャンスとなり得るのか、具体的に見ていきます。
空き家問題が秘める投資機会
なぜ空き家が魅力的な投資対象なのか
空き家の増加は確かに社会問題ですが、不動産投資家、特に初めて不動産投資を検討するサラリーマン投資家にとっては、絶好の機会となっています。
以下で、空き家投資の魅力を詳しく見ていきましょう。
(1)低コストでの物件取得
空き家は一般的に市場価格よりも大幅に安く取得できます。
一般的に不動産市場価格の5~8割といわれています。
価格が劣る理由は、買取をする不動産会社がリフォームや転用といった空き家の再利用をする費用を見越した金額にするためです。
例えば、1,000万円の市場価値がある空き家だと、500~800万円の買取価格になります。
これは、注文住宅の全国平均建築費(土地購入資金も含む)の5436万円から見るとかなり安く物件を手に入れられます。
このような低価格での物件取得は、初期投資を抑えたい投資初心者にとって非常に魅力的です。
(2)リノベーションによる大幅な価値向上
空き家は、適切なリノベーションを行うことで、物件の価値を大きく向上させることができます。
例えば、築40年の空き家をリノベーションした場合、物件価値が2倍以上に上昇したケースも報告されています。
需要に応じた戦略的なリノベーションにより、高い投資リターンを期待できるのです。
(3)社会貢献と投資の両立
空き家活用は、単なる利益追求だけでなく、地域活性化にも貢献できる社会的意義のある投資です。
例えば、空き家をシェアハウスやコワーキングスペースに改装することで、若者の移住促進や地域コミュニティの活性化につながった事例が多数報告されています。
このような社会的価値の創出は、投資の持続可能性を高めることにもつながります。
(4)政府の支援策を活用した投資効率の向上
空き家を放置することで、治安や景観の悪化や倒壊による防災上の危険を招くことが問題となってきました。
そのため、政府は2015年2月に空き家等対策の推進に関する特別措置法(通称「空き家法」)を施行しました。
空き家法の施行を受けて、各自治体は空き家の解体や撤去処分の費用に対して補助金を支給する動きが出てきています。
不動産投資において、空き家除去に対する補助金を活用した代表的な事例は以下の通りです。
●岡山市の空家等適正管理支援事業(リフォーム)
いくつかの条件に合致する空き家のリフォーム費用の3分の1を、上限50万円まで補助することが主な内容です。こ
の支援事業は、リフォーム後は所有者が住む、賃貸に出す、売却するといったどのようなかたちでも構いません。
●空き家取得支援事業助成金
鳥取県倉吉市などで導入されている補助金です。35歳以下の人、または市外在住の人で空き家を購入する人に対して、補助金を支給する制度になります。15万円が上限です。
空き家活用のメリット
(1)低リスクでの投資スタート
空き家投資は、初期投資を抑えられるため、サラリーマン投資家にとって低リスクで始められる選択肢です。
例えば、500万円の空き家を購入し、300万円でリノベーションを行う場合、総投資額は800万円程度に抑えられます。
これは、新築物件への投資と比較して、リスクを大幅に軽減できることを意味します。
(2)高い自由度によるユニークな価値創造
既存の建物を活用するため、自由度の高いリノベーションが可能です。
例えば、古民家を改装してカフェにするなど、物件の特徴を活かしたユニークな活用方法を考案できます。
これにより、競合物件との差別化を図り、高い収益性を実現できる可能性があります。
(3)地域とのつながりによる長期的な安定性
空き家活用は地域貢献につながるため、地域住民からの支持を得やすいというメリットがあります。
例えば、空き家を地域の交流スペースとして一部開放することで、地域コミュニティとの良好な関係を築くことができます。
これは、長期的な投資の安定性につながる重要な要素です。
空き家投資は、低リスクで始められ、社会貢献と両立できる魅力的な投資選択肢です。
次章では、具体的にどのようにして空き家投資を始めればよいのか、詳しく見ていきましょう。
サラリーマン投資家が空き家投資を始めるには
空き家投資は、サラリーマン投資家にとって魅力的な選択肢です。
以下の5つのステップを踏むことで、効果的に空き家投資を始めることができます。
Step 1:情報収集とマーケットリサーチ
投資対象地域の潜在的な価値と将来性を見極め、リスクを最小限に抑えるために、まずは情報を集めましょう。
情報源
・地方自治体の空き家バンク
・不動産仲介業者
・国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」
チェックポイント
・地域の人口動向
・賃貸需要の傾向
・周辺の家賃相場
・将来の開発計画
Step 2:物件選びのコツ
長期的に安定した収益を生み出せる優良物件を見つけ出しましょう。
良質な空き家を見つけるためのポイントは以下の通りです。
(1)立地:交通の便と生活インフラが整っている
(2)建物の状態:極端な老朽化がなく、耐震性能が確保されている
(3)リノベーションの可能性:間取り変更や設備更新が容易である
(4)法的制限:建築基準法や都市計画法による制限がない
Step 3:資金計画を立てる
投資の全体像を把握し、無理のない資金計画を立てることで、財務的なリスクを軽減しましょう。
典型的な空き家投資の資金計画例は以下のようになります。
・物件購入費:500万円
・リノベーション費:300万円
・諸経費(税金、手数料等) 100万円
・予備費 100万円
合計 1,000万円
地域や物件の状態にもよりますが、この投資で月額5〜7万円の家賃収入を目指すのが一般的です。
Step 4:リノベーション戦略
物件の価値を最大限に引き出し、競争力のある魅力的な物件に生まれ変わらせましょう。
価値を最大化するリノベーションのポイント
(1)ターゲット設定:入居者層(単身者、ファミリーなど)を明確にする
(2)コスト効率:高級すぎない、耐久性と機能性重視の設備を選ぶ
(3)省エネ対策:断熱性能向上、省エネ設備導入で長期コストを削減する
(4)独自性:周辺物件と差別化できる特徴を付加する
Step 5:法的手続きと支援制度の活用
法令遵守を確実にしつつ、利用可能な支援制度を最大限に活用して、投資効率を高めましょう。
必要な法的手続き
・建築確認申請(大規模改修時)
・用途変更手続き(住宅から店舗等への変更時)
・消防法関連の手続き(防火設備設置等)
活用できる支援制度
・空き家対策総合支援事業(国土交通省): 改修費用の一部補助
・住宅ローン減税: 条件を満たすリノベーション物件も対象
・地方自治体の独自支援: 補助金や税制優遇措置
これらのステップを着実に進めることで、サラリーマン投資家でも空き家投資を効果的に始めることができます。
リスクを最小限に抑えつつ、魅力的な投資機会を掴むチャンスがあるのです。
空き家投資のリスクと対策
空き家投資には大きな可能性がある一方で、見過ごせないリスクも存在します。
これらのリスクを理解し、適切に対処することで、より安全で収益性の高い投資を実現できます。
以下に主要なリスクとその対策をまとめました。
(1)予想外の修繕費
古い建物には目に見えない問題が潜んでいることがあります。
・壁内の配管劣化
・床下や屋根裏の腐食
・白蟻被害
効果的な対策としては、プロによるホームインスペクション(建物診断)の実施です。
赤外線カメラを使用した壁内部の調査も可能です。総投資額の10〜15%を予備費として確保しておきましょう。
例えば、総額1000万円の投資案件であれば、100〜150万円の予備費を用意することで、突発的な修繕にも対応できます。
(2)賃貸需要の変動
地域によっては、安定した賃貸需要が見込めない場合があります。
考えられる要因
・地域の人口減少
・新築物件との競争
・産業構造の変化による人口流出
対策としてできることは、 複数の不動産会社から市場動向データを入手することに加えて、国の将来推計人口データを確認して地域の産業動向調査を行います。
大学や主要駅の周辺は長期的な需要が見込めるため、こうした立地を優先的に検討するのが賢明です。
(3)法規制の変更
将来の法改正により、投資計画に影響が出る可能性があります。
リスクの具体例
・建築基準法改正による既存不適格化
・税制改正による収益性低下
・空き家対策特別措置法の強化
予防策として、国土交通省や自治体のサイトで法改正情報を定期的にチェックをしておきましょう。
また、不動産投資セミナーへの参加や税理士や不動産専門弁護士との相談体制を構築しておくことも非常に有効です。
年間10〜20万円程度の顧問料で専門家のアドバイスを受けられる体制を整えることで、法改正のリスクに迅速に対応できます。
(4)自然災害リスク
特に古い建物の場合、耐震性や防災面での懸念があります。
主な災害リスク
・地震による建物損壊
・水害によるキッチンや設備の損傷
・台風による屋根や外壁の破損
具体的な対策として、 耐震診断の実施(費用目安:10〜20万円)を行い、必要に応じた耐震補強工事をしておきましょう。
また、日頃からハザードマップでの水害リスクを確認して、適切な保険(火災保険・地震保険)への加入で万一の時に備えましょう。
年間2〜5万円程度の保険料で、大きな損失を回避できる可能性が高まります。
総合的なリスク管理アプローチ
これらの個別リスクに加えて、以下の総合的なアプローチを取ることで、より強固なリスク管理体制を構築できます。
(1)リスク評価マトリックスの作成と定期的な見直し
(2)専門家ネットワークの構築(建築士、不動産鑑定士、税理士、弁護士など)
(3)日々の情報収集習慣化(15分/日程度)
(4)経験者からの実践的なアドバイス収集
これらの対策を組み合わせることで、空き家投資のリスクを最小限に抑えつつ、その潜在的な利益を最大化することができます。
リスクを恐れるのではなく、適切に管理することで、サラリーマン投資家の皆さんも、安全で収益性の高い空き家投資を実現できるのです。
空き家を魅力的な投資対象に
空き家問題は、確かに日本社会が直面する大きな課題です。
しかし、サラリーマン投資家の皆さんにとっては、この問題こそが新たな投資機会となり得ます。
適切な情報収集と慎重な計画立案、そして創造的なアプローチにより、空き家を魅力的な投資対象に変えることができるのです。
初期投資を抑えられる点や、政府の支援策を活用できる可能性など、空き家投資には多くのメリットがあります。
もちろん、リスクも存在しますが、それらは適切な対策と管理によって最小限に抑えることができます。
空き家投資は、単なる資産形成の手段にとどまらず、地域社会への貢献や、新たな価値創造の機会でもあります。
皆さんの投資が、個人の経済的利益だけでなく、社会全体にポジティブなインパクトをもたらす可能性を秘めているのです。
空き家問題や空き家投資のリスクを避けて不動産投資をする方法もあります。
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